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こんやお堂でパァティがある
もちよりパァティなので
庭さきでとれたやさいとくだものと
たまごをうまなくなったにわとりを一羽
かごに入れて
家をでる
まがりかどで
こどもが泣いている
わたしにすてられたのだという
そういわれればそんなこともあったような気がする
ずっとここで泣いていたのだという
それっぽっちのことでそんなおおさわぎすることないでしょ
一生は長いんだから
と叱りながらその子の手をひいて
行く
いい? パァティに行ったらね
わたしたちのあたらしい家族を見つけるのよ
だってこれからずっとふたりっきりじゃ
しょうがないでしょ
おまえのおとうさんもいなくちゃ困るし
きょうだいもほしいでしょ
おじいさんとおばあさんもいたほうがいいし
叔父さんとか叔母さんなんかもいれば
みんなで大きななべかこんで
わいわいさわぎながら
いもや肉がぐつぐつ煮えるのを食べるのは
とってもいいもんよ
パァティなんかよりずっといいわよ
だから
ね!
わかった?
みちはだんだん登り坂になる
お堂はまだ遠い
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ひとりが帰ってくる
あれはまだなのかという
あれって?
しょうがないな
さがしてくる
それがでていく
くろい猫が帰ってくる
あれってこの猫のことかなとおもうのに
猫はいつの間にかいない
もうひとり帰ってくる
あれってこれのことかなとおもうのに
ねえ、あれはまだなの? という
あれって?
えっ? へんなこといわないでよ
わたしさがしてくる
このひとりもまたでていく
風で戸ががたがたいっている
風もあれではないのだろう
それから
いくら待っても
もうだれも帰ってこない
風で戸ががたがたいっている
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こわれためがねを出すと、医者は
ああ、これですかといって
それを水につけながら
しばらくこうしてようすをみますから
そこへかけて待っていてくださいという
いくら待っても
それっきりなんにもいわないので
おそるおそるきいてみると
ああ、あれですか
あれはね
死んだ者のめがねなんか
いまさらどうしようもないんですよ
あきらめるか
そうして待ちつづけるしかないでしょう
という
しんさつ代をきくと
七円ですが
ふつうは少しよけいに置いていきますよ
という
十円だすと
にこにこしながら
めがねがないと不自由でしょうから
家まで送って行きましょうという
わたしならだいじょうぶですからとことわっても
ですが、本人にあってちゃんと説明して
納得してもらいますから
それが医者のぎむですから
と言い言い白衣をぬいで
身仕たくしている
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そうしきのすんだあと
残りものの仕出しをたべながら
じぶんのそのくちつきが
とてもわいせつにおもえた
するとたべているものが
いっそうおいしくなってきた
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はだかでねてたら、夜なか
わたしはもうふでくるまれている
この暑いのにもう!
いいかげんにしてよ!
はらをたてたてはらいのけると
そうか、一枚ではたりないのかといいながら
もう一枚、もっと大きなもうふで包んで
わたしをおさえている
いくらもがいても
しんぱいしなくていいからと言い言いおさえている
こんなことをするのはあんたしかいない
たのんだことはなにもしてくれないくせに
いつもこんなことばかりする
もがけばもがくほどぎゅうぎゅうおさえつける
なみだがでてきた、と、目が覚めた
ああこわいゆめ見た
でも、あんたがそばにいてよかった
そう言い言いとなりを手さぐった
だれもいない
もっと手さぐりながらだんだん
ほんとに目が覚めた
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わたしのせなかのほうから手をのばして
乳ぶさをもぎとろうとしている
わたしの乳ぶさなんかよりよっぽどぷくぷくしたてのひらで
ぎゅうぎゅうねじっている
やめなさいと言おうとしてもこえがでない
手をふりはらう力もぬけている
きっとあのおんなだ
あんたんとこのだんな
わかいおんなと歩いていたよ
と、道であった知人がいう
そんなわけないでしょ
もう半年もまえに死ん……と言いかけたとき
わかいおんながでてきて
もうかまわないでください
わたしたち、うまくいってるんですから
うそだとおもったらきてみてください
と、わたしをひっぱって行こうとする
そっちこそいいかげんにしてよ
わたしはかんけいないわよ
と、ふりはらうと
もう、そのおんなも
さっきの知人もいない
あのときのおんなの
手だ
果実をもぎとるような手つきで
まだやっている
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おしいれからぬっと手をだして
わたしの足をひっぱっている
びくっとひっこめたら
それっきり
むねがどきんどきんしている
足にまだあの手の感触が残っている
おきだしておしいれを調べてみても
なんにもいない
おきたついでにおしっこにいく
こんなコンクリートの建物になんにもいるわけない
とわかっていても
まだどきんどきんしたまま
パンティをおろすのもおそるおそる
あたりを見まわしながらおろす
おおいそぎでおしっこして
ふとんのなかへかけこむ
あたままでもぐってもどきんどきんは止まない
もういちどおきて
おしいれのないへやへふとんをひっぱっていって
ねる
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